95年の時をつなぎ、新たな風を起こす。


有田町・内山地区の伝統的建造物が並ぶ通り沿いに、2025年7月1日にオープンした「かざぐるま」。築95年の町家をリノベーションした、スパイスカレーとスイーツが楽しめるお店です。
店主は富田紗貴さん。東京で生まれ育ちながら、幼少期の8年間を有田で過ごし、第二の故郷ともいえる有田に強い愛着を抱いてきました。大学卒業後は都内で働き、結婚。その後は夫・文彦さんの大学院進学に伴ってドイツへ移住。数年間の海外生活を経て、2019年からは地域おこし協力隊として有田へ戻り、有田焼の魅力発信や後継者支援に取り組んできました。
『町を元気にするために、まず自分が動きたい』─そんな思いから、紗貴さんは店舗の開業を決意しました。店がある建物は、有田焼の窯元・陶悦窯が所有する町家で、かつては建築家だった父が事務所として使っていた場所。紗貴さんにとって、思い出が詰まった特別な空間です。
リノベーションは建築家である夫・文彦さんが担当。竹小舞を残した壁やガラスの仕切り、陶悦窯によるオリジナル床タイルなど、素材や技術の美しさが光る空間です。また、店舗の一角には文彦さんの設計事務所「HOTARU STUDIO」も併設されており、夫婦の営みがこの場にしっかりと根付いています。
店名の「かざぐるま」は、かつて母が営んでいた洋服店の名に由来。「風を起こし、誰かの風に乗って、また次の誰かへつないでいく」。そんな優しい循環をこの町に、そっと生み出していきます。
スパイス香るスリランカプレートと、大人のスイーツ
「かざぐるま」で提供されるフードメニューは、スリランカの家庭料理をベースにした「スリランカプレート」。チキンカリー、豆のカリー、じゃがいもの炒め物やココナッツの煮込みなど、副菜7種をバスマティライスに添えた一皿は、彩りも香りも豊か。しっかりとスパイスが効いた味付けながら、日本人にも食べやすく調整されており、どの副菜にも香りや食感の個性が光ります。まずは一品ずつ味わい、途中からパパド(豆の揚げせんべい)を砕いて全体を混ぜると、全体の味がまとまり、より奥行きのある美味しさになります。辛さの余韻は、ラッシーやチャイと合わせることでやわらぎ、相性も抜群です。
このプレートは、2020年に有田町でスパイスカレーのテイクアウト店「SPICE HOTARU」を開いた文彦さんが、そのレシピをベースに監修。紗貴さんが手ほどきを受けながら、ここ「かざぐるま」ならではの一皿として提供しています。あわせて今後は新しいメニュー開発にも取り組んでいく予定で、さらに訪れる楽しみが広がりそうです。
食後には、手づくりスイーツもぜひ。キャラウェイやシナモンなどのスパイスを練り込んだ「スパイスシフォンケーキ」は、ふわふわの軽やかな口当たり。甘さ控えめで、添えられた生クリームとの相性も抜群です。
スイーツを除くメニューはテイクアウトにも対応しており、自宅でもその味を楽しむことができます。スパイスの香り、甘さの余韻、器の美しさ、そして空間のぬくもり──そのすべてが合わさって、「かざぐるま」で過ごすひとときは、きっと特別な時間として心に残るはずです。
名前 | かざぐるま |
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営業時間 | 11:00~15:00 |
営業日 | 火・水・木曜日 |
駐車場 | 無(周辺の観光駐車場(無料)をご利用ください) |
お問い合わせ | Instagramはこちら |
住所 | 佐賀県西松浦郡有田町幸平2-2-23 |
注意事項 | 掲載情報は取材日(2025年8月)時点のものになります。最新情報は店舗インスタグラムをご確認下さい。 |