佐賀県西部の情報をぎゅっと詰め込んだ情報マガジン。

 有田町に在るArita Coyote(アリタ コヨーテ)。昔ながらの一軒家を生かし、クリエイター向けのゲストハウスとして運営している。SNSで検索してみると、コヨーテの被り物をした男性が随所に写っている。今回はそのベールに隠された、オーナーのタカスマナブさんにお話を伺った。

有田というアートの町

有田で生まれ育ち、本職は西日本をメインに店舗や工場などの専門的な電気工事を担う。そろそろ地元で身を固めたいと想い始めた頃、有田は400周年という大きな節目を迎えていた。世界や全国各地から訪れるたくさんの観光客や滞在客で賑わいを見せる中、彼はゲストハウスの必要性を強く感じたという。ゲストハウスの名前である コヨーテ は有田の方言を絡ませてある。海外では余所者という比喩で使われることもある言葉だが、有田には県外や国外のクリエイターや夢を追う人が訪れることも多い。それらの人がここで生活することにより、地域への刺激になればとの想いも込められている。「過疎化が進む中、近所の年配の方に、うちの集落には外国人までくっとばいと言わせたい。隣保班の半分が外国人って面白いじゃないですか?」と語ってくれた。

親しみが生まれる空間

地域協力隊やボランティア、居住者と共に創り上げてきた夢のゲストハウス。床材には、陶芸従事者が多いこの町で古くから重宝されてきた皿板を洗浄し磨き上げ再利用されており、絵付時に使われていた机や椅子なども手を加え大事に活用されている。特に居住者には、滞在中に少しでもリノベーションに参加してもらうことで、愛着を持って生活してもらうのが狙いだ。「古」と「新」とが融合された、温もりのある空間に居心地の良さを感じた。

外国人に人気の和室には、彼の祖父がつくった陶器の作品と祖母が書いた書が飾られている。照明は近代的なデザインのものを使い、その対比に彼のセンスが光る。玄関正面にはアニメでおなじみのピンク色の「どこでもドア」が存在する。ある日彼の夢にふとでてきて、次の日には実在させたと言う扉だ。メンテナンス中と看板が立ててあり、残念ながら物置部屋にしか行くことができないが、そんな遊び心も魅力のひとつだ。

彼が作ったロゴに描かれるコヨーテには、この場所への想いが隠されている。三本の髭は、左から右へ続く人の道が表現されており、それぞれがここで出会い、交わりつながりを持つ人もいれば、自分の道を探求する人もいる。お互いが協力しながら生活することで経験をシェアでき、インスピレーションが生まれる場所になるに違いない。

次世代に伝えたいこと

情報社会でいつでも欲しい情報が得られる時代だが、あえてSNSではゲストハウスの詳細を発信しないという彼。興味を持ってもらうのは大事だが、画面上で全部伝わってしまうと面白くない。自分の目で直接見て体感して欲しいという。「インターネットの動画配信サイトなども同じだと思うんですけど、やっているところを見ることで、あたかも自分が経験しているかのように感じる。だけど見たことがあるよりも、本当に自分が経験したことがあるの方がかっこいいと思うんです。だから今の若い世代の人には、何にでもチャレンジ、体験してほしい。やってみないとわからないことっていっぱいある。失敗なんてどうでもよくて、〔やる〕か〔やらない〕かの選択だと、〔やる〕を選んでほしい。」と話す。

実際に行動する勇気を出せば得られるものは多い。経験値を重ねることは、後の自分を大きくし、やりたいことへの選択肢も増えるだろう。インターネットで得られる情報でつい満足しがちだが、五感を使って得られるものを改めて大切にしたいと考えさせられた。

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